*春待つ疑問符*
「イケメンだわ〜!」

誰かのお母さんが言った。

「あら、本当!」
「タケル君みたい!」
「ステキ〜」

タケル君とは、特撮ヒーロー番組の主人公。

日曜の朝はこれを見なきゃ始まらない。
僕とお母さんはそろってテレビの前に集合。

お父さんは呆れてるけど、僕らのヒーローは、お母さんたちのアイドルだ。

先生は、この小さな街の主婦を味方に付けた。

僕は、呆れているお父さんに言った。

兄ちゃんが帰ってきたみたいだ!

するとお父さんが言った。

「本当だなぁ。これは騒がしくなりそうだ。」

この小さな街には、高校はない。僕の兄ちゃんは高校生だから、この街を出て高校の寮に入って生活している。

お父さんは兄ちゃんが家を出てからさみしそうだったけど、先生を見て、少し嬉しそうにした。


僕もなぜだか嬉しい。
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