*春待つ疑問符*
「昔からそんな頭してたんすか?先生にしては珍しいというか、なかなかいないっすよね?」

兄ちゃんの質問は続く。

「この街に来ることになって、この頭にしたんだ。昔は真っ黒。真面目そのものだったよ。」

ハル先生は笑って言った。

「心境の変化ってやつですか。」

兄ちゃんが言う。

「自分で言うのもなんだけど、本当に真面目だったんだよ、俺は。髪が黒いからじゃなくて。」

ハル先生が‘俺’って言った!

「人はまず、どうしても見た目だろ?外見で人を判断しちゃいけないなんて言うけど、第一印象なんて、外見なんだよ、実際。」

ハル先生は語る。

「そうですね。」

兄ちゃんは頷く。

「俺は試してみたかったんだ、自分は第一印象を中身で変えることができるか。変えるために、どのくらい人と接することが必要か。」

「その頭にそんな深い理由が…。」

兄ちゃんは真剣にハル先生の話を聞いていた。

僕はジュースを飲んでいた。
< 97 / 128 >

この作品をシェア

pagetop