*春待つ疑問符*
「でも、その試みは、薫君達の存在によって、失敗に終わったよ。」

ハル先生が言う。

「俺のせいですか?」

兄ちゃんはぽかんとしている。

「悪い意味じゃないんだよ?」

ハル先生が言う。

「この街の人達にとって、派手な頭は薫君達のイメージなんだ。優しくていい子の。」

ハル先生は優しい笑顔で言った。

「なんか、すみません。」

兄ちゃんはまた照れていた。

「俺はすんなりこの街に受け入れられて、意気込んできた分、空虚感に襲われたけど、正直、ホッとしてたんだ。

結局、俺は何をしたかったんだか…。

俺は、薫君達のいいイメージを壊さないように頑張るよ。」

ハル先生は笑った。
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