恋水〜悲しいだけじゃない嬉しい涙もあるよね〜
マンション前に
グリーンのコンパクトカーが停まっていた。


オレは気にもせずにマンションへ


「 柊、おかえり。
ほらっ乗って。
出掛けようよ。 」


花歩の明るい声が
イラついているオレの心を
更にイラつかせたが…

アドレスのこともあったし、
花歩の車に乗ることにした。


どこにむかっているか、
わからないけど
車を走らせている花歩の横顔を見つめていた。

何も語ることもせずに、
ただ見つめていた。


しばらく走ると
二人でよくきたファミレスに着いた。


オレたちは
あれから一言も会話をしないまま
コーヒーを飲んでいた。


突然、
花歩がオレの手をにぎり



「 柊、私たち別れたんだっけ?
留学する前、別れ話してないよね?
だから…
あの女の子
えっと、
唯愛ちゃんだっけ?
寂しかったからでしょ? 」


オレは花歩を空港に見送りに行った時のことを思い出していたが、

確かに別れ話はしていない。


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