【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~

「結婚を前提に」


ケッコン?


ケッコン……って、なんだっけ?


「……ふぇ?」


突飛すぎる申し出に、優花の口から意味を成さない間抜けな声が零れ出す。


「ですから、結婚を前提にお付き合いしましょう」


ニコニコと、リュウは笑みを深める。


始めは、変な空耳かと思ったが、違ったらしい。


自分がいきなりプロポーズめいた告白をされていることにようやく気付いた優花は、信じられないように目を大きく見開いた。


「は……、はいっ!?」


「冗談で言っているのではありませんよ? 今回の日本留学の目的の一つは、結婚相手を見つけることにあるんですから」


え、えーと、


えーと、


「ゆーかは、ボクのことが嫌いですか?」


「き、嫌いだなんて、そんなことないよっ」


むしろ、好感が持てる。


でも、異性として『好きだ』といえるくらいには、リュウのことを知らなすぎる。


――なんて答えれば、いいの!?


年齢イコール彼氏いない歴、十七年。


突然、降って湧いたようなモテキ到来に、優花は対処できずに焦りまくった。

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