【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
リュウのことを嫌いなわけじゃないから、無下にも断れない。
ワケの分からない夢の連続に、白昼夢。
プラス、晃一郎の、挙動不審。
続く、階段転げ落ち事件。
追い討ちの、リュウの告白。
いったい、今日はなんという日なのだろう。
天中殺ってやつだろうか?
正直、優花の心のキャパシティーは、いっぱいいっぱいで、もう飽和状態。
「はぁーーーーーっ……」
魂が抜け出そうなくらいの、何度目かの大きなため息を吐き出し、優花はガックリとうなだれた。
「まあ、そんなに深刻にならなくてもいいんじゃない? 『わー、初めて告られちゃったー、てへっ』くらいな気持ちでいればさ」
さすがに不憫になったのか、玲子がよしよしと肩をたたきながら、フォローを入れてくれるが、優花の沈みきったテンションはそう簡単には回復しない。