【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
「タキモトって、そんなに悪いやつじゃないと思うけど?」
愉快げに目じりを下げる玲子の言葉に、優花は、不本意そうに唇を尖らせる。
「リュウくんは、いい人だよ。優しいし、面白いし。良い友達になれるなぁとは思うけど、それ以上は考えられないよ」
少なくとも、今は。
「それで、いいんじゃない?」
「え?」
「『ああ、馬が会いそう』、っていう第一印象って、意外と大事だと思うよ、男と女に限らずね。アタシと優花だって、そうだったじゃない?」
数年前、
中学で初めて玲子と出会ったときのことを、思い出してみる。
確かに、目があって、ニッコリ笑顔を返されて『よろしくね』って手を差し出されたその時に、『ああ、この人とは長い付き合いになる』って、確信めいたものが過ぎったけど。
その通り、今もこうして、気の置けない一番の友達だけど。
何事も、例外と言う物があって。
そもそも、
女同士の友情と、恋愛をいっしょくたにしてもいいものか。
経験値の少ない優花には、皆目、見当もつかない。
「まあ、うん。そうだったけど……」