【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
「ええっと……」
とりあえず、晃一郎と手に手をとって逃避行、
なんと、キスしちゃいました!
な夢は、置いといて。
まずは、一つ目、
「体育の時間に、顔面レシーブして、卒倒した」
優花は右の手のひらをパーに開き、数えるために親指を折りこむ。
二つ目、人差し指。
「うーんと、音楽室へ行く途中、誰かに押されて階段から落ちた……でしょ?」
三つ目、中指。
チラリと、晃一郎の、渋い表情を盗み見、
「リュウ君に告られた」
早口に言う。
それと、四つ目は――、
折り込もうとした薬指は、ためらうように途中で止まる。
ついさっき、トイレで起こった怪異現象を思い出し、背筋にゾクリと悪寒が走った。
こ、これは、
これは、気のせいかもしれないし。
うん、言う必要はないよね?
「こんな……感じ?」