【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
いったい、どこまで読まれたのだろうか?
思考の自己シールドができるならば、その表層だけで被害はすむが、なにせ相手はまだ能力未覚醒で、思考がだだもれ状態の、優花だ。
もしも、もう一人の優花の件が公安の知るところになれば、かなり厄介だ。
稀有な、銀色の髪を持つ、
テレポート(空間移動)能力を有した、特Aランクの能力者、如月優花。
今は亡き彼女のイレギュラーだと知れれば、追及の手は更に厳しくなるはずだ。
おそらくは、その身を確保するまで、奴らは、諦めはしないだろう。
普通の警察ならまだしも、自らも超能力を有した、対ESP部隊。
飼い犬は飼い犬でも、訓練された獰猛な猟犬だ。
「博士、告発した人間については、心当たりがあります」
『そうか……。もうあまり時間がないから、詳しい報告は後でしてもらおう。君には、優花ちゃんに関する記録をすべて削除してもらいたいのだが』
「分かりました。すぐに取り掛かりますので、そちらはご心配なく」