【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
自分の胸の辺りで止めた、手の平を上にして、
その中に何かを握るように、軽く指を曲げる。
ふぅっ――と、
手のひらの上に、オレンジ色の小さな明かりが灯る。
その灯火は、徐々に大きさを増し、やがて握りこぶしほどの大きさになった。
ぴりぴりと、まるで帯電しているかのように、空気が震える。
次の瞬間。
ポン、と
晃一郎は、その光を、無造作に、中空に放り投げた。
その刹那、
稲妻のような赤白色の閃光が飛び交うや否や、
バチバチバチ! と、
空気を震わせるような、鋭い炸裂音が、上がった。
目もくらむ閃光にすべてのものが色をなくし、再び元の色を取り戻したとき、
優花の小さな城は、まるで魔法が解けたシンデレラのように、何もない、白く無機質な冷たい空間に戻っていた。