【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
「村瀬には、第三者的立場でいてもらったほうが、何かと都合がいいんだ。ここの状況も含めて、今後、色々と情報を流してもらいたいしな」
うん? と、
晃一郎は、悪戯を企む少年のような光を宿した眼差しを、玲子に向けた。
「頼めるか、情報収集のスペシャリストさん?」
晃一郎の言わんとすることを察した玲子は、ニヤリと、会心の笑みを浮かべた。
「潜入工作員、ってやつですか、ボス?」
「まあ、そういうことだ。一人だけ楽をさせやしないから、安心してスパイ活動に励んでくれ」
「了解。なら、お姉さんは、一肌も二肌も脱いじゃうよ!」
「いや、今、脱がんでもいいから。さっさと仕事に行け」
おどけて、ブラウスの胸ボタンを外しにかかる玲子に、晃一郎は、思わず苦笑した。