【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
晃一郎は、なんて答えるのだろう?
「俺は、終始一貫、こいつを元の世界に戻すことしか考えてねぇよ」
「へぇ、それは、大人なお答えですこと。優花がいなくなって、寂しいって泣いたって、慰めてなんかやらないからねー、アタシは!」
玲子は、ふふふんと、鼻先でせせら笑う。
「大きなお世話だ。人の傷をえぐって喜ぶようなやつに、慰めてもらわなくてもこっちは間に合ってるよ」
ピンチの、あとの大逆転。
一気に好転した状況の中で、
いつまでも続く、楽しげな友人同士の会話に、笑顔で耳を傾けながら、優花の心は、なぜか晴れなかった。