【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
「御堂ってば、齢十八にしてファッションに目覚めた?
って、アレがおしゃれとは思えないし、
コスプレ趣味はなかったはずだし、
まさか高三のこの時期になって不良化?
って、それよりもありそうなのは女にでも振られたショック?
あのルックスだから、けっこうモテるけど、すぐ本性がバレて振られるんだよねー。
って、それはいつもの事だから耐性があるか」
「うん、そうだね……」
「うん、そだねって、優花、そんな身もふたもない。
愛しの幼なじみ君なんだから、せめてあんたくらい庇ってあげなきゃ気の毒じゃない」
「うん……って、ええっ!?」
玲子の弾丸トークに反射的に相槌をうったら、とんでもないセリフが返ってきて、優花はギョッとする。
『イトシイ』なんて恥ずかしい単語を、さらりと言ってのけるのが『玲子ちゃん』クオリティ。
――だけど、リアルで聞くと、恥ずかしいどろじゃない、
こっ恥ずかしいっ!
「べ、別にそんなんじゃないわよっ! 晃ちゃんは、ただの幼なじみ、腐れ縁だっていっつも言ってるじゃない!」
しどろもどろに抵抗を試みる優花に、玲子は『はいはい』と苦笑を浮かべる。