【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
笑いを含んだ声が頭上から降ってきて、ドキッと体を強張らせると、そんな優花の反応を楽しむかのようなセリフが、再び落とされる。
「なーんてな。未成年誘拐犯にはなりたくないからな、俺。一応公務員扱いだし」
――お、驚かさないでよ、もう!
「ここでは十八は未成年だけど、あと二年で二十歳だから、私。日本の法律じゃ、女の子は十六で結婚できるし、もう立派に大人ですよーだ」
「うん、まあ、そうだろうなぁ。三年の間に結構、育ったよなぁ……」
ゴニョゴニョゴニョと、語尾を濁した晃一郎の視線の先には、二つの稜線。マイ・バスト。
――はあっ!?
――あ、あ、あのなぁ。
プチっと、
優花の頭のどこかで何かが切れる、小気味よい音がした。