【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
そうだった、こいつは俺様セクハラ大魔王!
何か逆襲してやる良い手はないものかと忙しなく考えを巡らせて、思いついた一つの方法。
緩い抱擁を抜けだし、一歩二歩、後ずさり真っ直ぐ晃一郎を見上げる。
「晃ちゃん……」
「うん?」
ニッコリ特上の笑顔を浮かべて、今度は一歩二歩、晃一郎に近づいて行く。
本当にすぐ目の前で、何事かと目を丸める晃一郎の顔が、面白い。
――優花さん、ごめんね。ちょっとだけ、よそ見しててね。
もうどこにも存在しない、もう一人の優花に心で詫びて、
息を吸って、止めて、三、二、一!
ええいこの、乙女の純情思い知れっ!