【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
とばかりに、晃一郎の両頬を勢いよくバチンと両手ではさみ、ギョッとしているその顔めがけて背伸びをして、一気に唇を重ねた。
ビクリと、体を硬直させてる晃一郎の反応に『どうだ思い知ったか』と、胸がすく。
そして最後に、言い放つセリフを脳内リピート。
――三年前の別れ際の不意打ちのキス。
あの時のセリフをそっくりそのまま返してやるんだ。
ニッと笑って、傍若無人に『餞別に、貰っておくよ!』って言ってやる。
そう、目論んでいたのに……。
体を離そうとしたその瞬間。
逆にグイッと抱き寄せられて、離れかけた唇は再び重なった。