【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
晃一郎の腕の温もりを心地よい、なんて感じながらその肩に頭を預け、
取り留めもなく思考するその片隅で、
まるで砂時計の砂が落ちていくように、静かにでも確実に、記憶の欠片がサラサラと崩れていくのを感じていた。
眠りに落ちる間際のような倦怠感に、自然と瞼がおりる。
――ねえ、晃ちゃん。
『うん?』
優花の心の問いかけに、優しい波動が応えてくれる。
助けに来てくれて、ありがとう。
『うん』
私、晃ちゃんに会えて、よかった。
『うん』