【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~

「晃ちゃんっ!」


全速力で駆け寄り、有無を言わせず、その首っ玉にかじり付くように、抱きつく。


「お、おわっ!?」


思わぬもう攻撃に、不意を付かれたその人物、


御堂晃一郎は、不覚にも、バランスを崩してそのまま優花を抱えるように、尻餅をついた。


封印したはずの記憶が戻っているのか、それとも、こちらの世界の晃一郎と認識しているのか。


「お前、なんで――」


驚きに、開きかけた唇が、優花のそれで塞がれる。


長い長い口付けの後、


優花は、してやったりと、会心の笑みを浮かべた。


「ふっふっふっ。会っていきなりだけど、前渡しで、餞別にもらっておくよ!」


「おまっ……。俺が、誰だか、わかってるのか?」


半信半疑で問う晃一郎に、優花は、にっこり笑みを深める。

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