【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
平和に暮らす、それも惚れた女に頼むのは、非常に情けないが、ガーディアンのトップとしては、他の選択肢はなかったのだ。
「……悪い。又、頼めるか?」
申し訳なさそうに、頭をかく晃一郎に、
「了解、ボス!」と、
優花は、満面の笑顔で応え、
晃一郎の手を取り、自分の指を絡める。
懐かしい体温。
優しい、鼓動の音。
温かい手のひら。
たとえそれが、どんな道でも。
この手の温もりがあるかぎり、
私は、きっと、前を向いて歩いていける。
優花は、その絆を確かめるように、
繋いだ手に、ぎゅっと力をこめた。
《完》