【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
えっ、
えええーーっ!?
あ、頭、撫でられたっ!?
ギョッとして、思わずのけぞり、頭を両手で覆う。
確かに、泣き虫だった子供の頃は、こうやって頭を撫でられた覚えはある。
『大丈夫だから、泣くな』
そう言って、何かにつけメソメソっと涙を零す弱虫な自分を励ましてくれた、幼なじみの優しい手の感触が、大好きだった。
でもそれはあくまで、小学校低学年くらいまでのことで。
今は、お年頃の高校三年生。
いくら幼なじみだといっても、教室でこの行動は、常軌を逸している。
否。
教室でなくても、充分、優花の常識からは外れている。
こ、こ、こ、晃ちゃんっ!?
恥ずかしさで、優花の顔にサッと朱が上った。
やっぱり変だ、
変過ぎるっ!