【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
街中を抜けた、人気のない森の道。
太陽の最後の残照が、少女の手を引いて走る彼のシルエットを、薄闇の中にくっきりと浮かび上がらせる。
均整の取れた、スラリとした体躯。
小柄な少女からすれば、見上げる位置にある彼の横顔。
無駄なモノがそぎ落とされたようにシャープな頬の輪郭と、高い鼻梁。
風を受けてなびく、サラサラな金色の頭髪。
その存在の一つ一つが、心を揺さぶる。
離れたくない。
ずっと、一緒にいたい。
こみ上げる想いが、懸命に動き続けていた少女の足を止める。
「!?」
驚いたよう振り返る彼に、全身で息をつきながら、少女は、ふるふると頭を振った。