【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
スレンダーなボディに、健康そうな小麦色の肌。
好奇心に満ちた生気溢れる大きな瞳と、揺れる、少し癖のあるセミロングの栗色の髪。
黒と、栗色。
髪の色が、違うことを除けば、優花を視認するなり、
ベッドサイドに怒涛のように駆け寄り、躊躇う様子もなく優花の首ったまに抱きついて頬ずりしてきた女の子は、村瀬玲子。
間違いなく、優花の三年来の親友だった。
「優花だ、優花だ。このモチモチ、プニプニ、プルル~ン! この感触、間違いないっ。やっぱり優花なのねぇっ!」
あわわわわっ!
ベッドに横たわったまま、ほとんど伸し掛かられ状態で、更に熱烈な玲子の頬ずり攻撃にさらされ、言葉も上げられずに、ただただ目を白黒させていたら、
「……博士ですか? こいつに、優花のことを教えたのは」
と、晃一郎の唸るような低い声が降ってきた。
『こいつ』の、イントネーションに、何かただならぬ殺気を感じる。
でも、博士はそんなことを気にする様子は微塵もなく淡々と、
「ああ、私が連絡したんだよ。どちらにしろ、知らせずとも村瀬くんなら、遠からず駆けつけただろう?
ならば、最初から教えておいても、問題はないと思うよ。
それに、優花ちゃんのこれからにも、村瀬くんの人脈とコネは有用だろう?」
と、ニッコリと笑みを浮かべた。