【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
「誰が毒牙にかけた、誰がっ!」
「そこの干し草頭に決まってるじゃない!」
「あんただって、似たような頭じゃないか!」
「あら、失礼ね。アタシのは麗しい栗色の御髪(おぐし)と言うのよ。
馬にかじられる干し草頭と一緒にしないでよ!」
「俺は馬にかじられた事はないっ!」
え、え~と。
「二人とも、それくらいにしておきなさい。優花ちゃんが、困っているじゃないか」
のんびりとした声音にも関わらず、さすがの博士効果。
鶴の一声で、二人のバトルは終わりを告げた。
博士と晃一郎が他の、というか本来の研究所の仕事に戻ったため、病室には優花と玲子の二人が残された。
去り際に、博士に『優花ちゃんを、あまり疲れさせないようにね』と言われた玲子は、『分かりました』とニッコリ笑顔で答えていた。