S系紳士と密約カンケイ
1.目覚めと、美形男子
コーヒーの匂いに誘われて、ゆっくりと意識が覚醒を始める。
今日の日付や曜日が思い出せずに一瞬焦ったが、すぐに休日であることに思い至って安堵すると、本城柚(ほんじょうゆず)は鉛を飲まされたように重い身体に眉を潜めた。
――飲んだのは鉛じゃなくお酒だった。
カラカラに喉が渇いている。頭が痛むのは、いわゆる二日酔いという奴だろう。
朦朧とする思考でそう結論づけると、溜息混じりで柚はベッドから身体を起こした。
頭痛と軽い嘔吐感でベッドから抜け出すのは面倒だったが、このままではベッドの上で吐き出してしまうかもしれない。
柚はベッドから這い出すと、薬を取り行かねばと、覚束ない足で立ち上がった。
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