守るべきもの
私は、何も考えずに仕事に没頭した。


一息ついたところで、飯田病院長が、私の元にやって来た。


「今、ちょっといいかな?」


「はい。」


病院長も警察から話しを聞かれたのだろう。


「村山先生の件は知っているね?」

「はい。」

「村山先生は、腕のいい内科医だった。人から恨まれるなんて、考えにくい。私なら誰かに恨まれても仕方ないが…」


「そんな…」

病院長は、温厚な人物でトップクラスの脳外科医だ。病院長に憧れている医師も多い。


「ま、お互いに気を付けよう。」


病院長は、白衣を翻して去って行った。

私は、誰かに恨まれているのだろうか?

知らない内に誰かを傷つけてしまったのか?

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