彼と彼女と彼の事情


定員が四名というものの、二人で向き合うのにはちょうどよい広さだった。



「久しぶりだな!元気だったか?」


乾杯のグラスを傾けながら、私に送る優しい眼差し。


――この人は、非情だ。



あんな理由で私を振ったくせに、今、目の前でこんな表情を見せる。 



それが、どんなに罪深いことなのか、本人は気付いていないのだろうか。 



「うん。まあまあかな?」


グラスに手を添えながら、曖昧に答えた。




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