彼と彼女と彼の事情
二人でエントランスを抜け、向かった先は、本館と新館のちょうど真ん中にある『ガーデンラウンジ』だ。 


全面ガラス張りのそこからは、眼下に広がる約一万坪の日本庭園を一望できる。


大老・伊井直弼や加藤清正のお屋敷があったとされる、由緒ある庭園。



都心とは思えない、緑豊かな景色が広がっている。 


目を凝らして見てみると……


流れる滝をバックに、白無垢と羽織袴姿のカップルが記念撮影をしている。 



どうやら、結婚式のようだ。


そういえば、ここへ来るまでに、何組かの新郎・新婦を見かけたっけ……。



人生の晴舞台――花嫁にとって、人生で一番美しいとされる日。



どの顔も喜びに満ち溢れ、これからの前途に希望を抱く笑顔ばかり。 




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