彼と彼女と彼の事情
着いた先は――
「……ここ?」
半信半疑で、郁人に尋ねた。
「そっ!ここ」
嬉しそうに答える郁人を尻目に、後退りしそうになった。
だって――
このお店、ガード下にあって怪しいお店も軒を連ねているから……。
絶対に、一人では入らないようなお店だもん!
「ホントにここに入るの?」
「もちろん!めちゃくちゃ美味くて、奈緒、ビックリするよ、きっと!」
郁人に促され、おずおずと店内に足を踏み入れた。