彼と彼女と彼の事情
「担当の近藤です。病室の方へ移動しますので、皆さん、よろしいですか?」



と、小柄な可愛いらしい看護師さんに促された。



薄いピンクのナース姿の彼女は、制服を着ていなければ、学生に見間違う程、幼い雰囲気の人だった。



彼女に連れられ、三人で向かった先は、東病棟5階。   


エレベーターを降りるや否や、視界に飛び込んできた車椅子集団。 



談話室と呼ばれるそこは、病院にも拘らず、活気に溢れていた。 



明るい日差しが差し込む窓側の席で、談笑する姿。



整形外科特有の明るい雰囲気には、少し戸惑った。 


「いいねぇ!
俺、すぐ友達できそう!」


と、車椅子の上で笑う郁人に、少しだけ心が救われた。 



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