彼と彼女と彼の事情
――と、髪の毛を濡らし、Tシャツと短パン姿の郁人が戻ってきた。 



「あっ!奈緒、来てくれてんだぁ。いつも悪いなぁ。今、風呂に行ってきたよ!」


「ううん。お風呂、一人で大丈夫だった?」



「あぁ。椅子があったから、なんとか、な。久々に、気持ち良かったよ〜」



お風呂上がりの郁人の身体からは、洗いたてのシャンプーの匂いがした。 



日に日に、回復の兆しを見せ、お風呂にまで入れるようになった郁人。



私も……やっぱり、嬉しかった。



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