彼と彼女と彼の事情
「奈緒、まだ時間あるか?」


「うん」



「よし!散歩に行こうぜ!院内散歩♪」



楽しそうに郁人が笑う。
釣られて、私も自然と笑みが零れる。 



そこには、穏やかな時間が流れていた。 



郁人の乗った車椅子を後ろから押して、向かった先は…… 



院内にある、憩いの場所――。


緑に囲まれた中に、等間隔に置かれたベンチ。 




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