彼と彼女と彼の事情
穏やかで、ゆったりとした時間。 



相変わらず、機関銃トークの郁人ではあったけれど、二人の間に、心地よい風が流れていた。



――と、



「奈緒、この前の話だけど……、あれ、俺、本気だから。退院するまでに、ちゃんと考えておいてくれよな?」


と、私の左肩に手を置き、優しい眼差しで見つめる。


吸い込まれそうな瞳に、ドキドキが止まらない。 






郁人―――…。




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