彼と彼女と彼の事情
「郁人さぁ、あんたのことが好きだからって、私に別れようって言ってきたんだよ!」


「……えっ?」


「あんた、隼人さんの彼女じゃなかったの?弟にまで手ぇ出して、どういうつもり?」


「えっ、そんな………」


「なんとか言ったらどうなのよ!黙ってんじゃねぇよ!」


突然の、郁人の彼女の登場には驚いた。



物凄い剣幕で捲くし立てられ、今にも襲いかかるような勢いだった。


そんな彼女を前にして、私は黙っているよりほかなかった――。 





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