彼と彼女と彼の事情
抱き締められた胸の中から天井に浮かび上がるライトを眺めた。 


外とは対照的な暖かい灯りの下で、隼人の胸に寄り添い、感じる彼の鼓動。


この数ヶ月のことが、まるで嘘のように感じられた。

―――…温かい。隼人の胸って、こんなにも温かかったんだね。 


隼人の匂いに包まれた胸の中は、とても温かく、安心できる懐かしい場所だった。


何度も、この部屋で、

この胸に抱かれ、愛を確認した。

私の帰る場所は――…。






――と、灯りの中に、ぼんやりと一人の顔が浮かんだ。



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