彼と彼女と彼の事情
――と、自宅の電話がけたたましく鳴った。
慌てて部屋に戻り、受話器を耳にすると、
「おはよう〜!起きてたか?」
と、明るい郁人の声。
突然の電話に驚いて、何を話そうか迷っていたら、
「お〜い、聞いてるか?携帯が繋がらないから、こっちに掛けたよ。昨日のメール見た?」
「……あぁ。うん」
「じゃあ、来てくれるよね?」
「うん。ホントに行ってもいいのかな?」
「もちろんだよ!話したいことがあるから、絶対に来てくれよ!」
「分かった。またあとでね」