彼と彼女と彼の事情
二人のあとについて、いざ病室へ入ろうとすると、足が竦んで動けない。 



なんとなく、入りにくい。 


あと数メートルのところに、郁人がいる。



それなのに……



ドキドキして、足が踏み出せない。



開けっ放しの引き戸の前に立ち竦んだ私を、突然、優しい声が襲った。 




「何、やってんだよ!」 


―――…!!




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