彼と彼女と彼の事情
元々、私と隼人・郁人の三人は、学生時代、バイト先のカラオケ店で知り合った仲だ。
ノリのいい郁人は、みんなの人気者で、郁人がいるだけで、そこが明るくなるような存在だった。
片や兄貴の隼人は、飲み会などには参加するけど、あまりバカ騒ぎなどせず、クールで取っ付きにくそうなタイプだった。
「えー、マジで兄弟なの?」
はじめは、顔も性格もあまりに違うこの二人が兄弟だなんて、誰も信じなかった。
どう見たって、似てない!
当然、私も話しやすい郁人とすぐに仲良くなり、バイトの後には、食事や他店のカラオケボックスによく出掛けたりした。