彼と彼女と彼の事情
混雑した外来を擦り抜け、花壇が見えるベンチに二人で腰を下ろした。 



雲ひとつない青空から覗かせる太陽の日差しに、思わず、目を細めた。



時折、駐車場を行き交う車のエンジン音がするものの、辺りは静かだった。



「はぁ〜、本当によかった!」



突如、話しだした郁人。
えっ?!という表情で彼の顔を見ると、



「もしかしたら、来ないかも…って、ちょっとだけ思ったから。…なんてね!」と、顔を緩ませた。



私は、それには答えず、頷いただけだった。




< 260 / 300 >

この作品をシェア

pagetop