彼と彼女と彼の事情
「それと、俺さぁ、ようやく退院が決まったよ!」



「えっー、ホント?」



「あぁ。来週の土曜日。ちなみに、その日は大安!」


悪戯っ子のような笑みを浮かべ、嬉しそうに話す郁人。 



「よかったね。おめでとう!」



本当に心から嬉しかった。   事故に遭ってから、早3週間。辛いリハビリにも耐えて少しずつだけど、歩けるようになったもんね。  


自然と、私の頬も緩んでくる。 



「それとさぁ、兄貴のことなんだけど…」



――…急に、胸がドクンと波打った。 




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