彼と彼女と彼の事情


――それから1週間後。
郁人の退院の日を迎えた。


午前中で退院する郁人に合わせ、私は少し早めに家を出た。   


病室へ行くと、相変わらず明るい笑い声が廊下にまで響き渡っていた。 



一瞬、ここが病院だということを忘れてしまうくらいに……。



「おはようございます」と、少し遠慮気味に中へ入ると 



「「奈緒ちゃん、おはよう!」」と、次々に元気な声で出迎えてくれた。 




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