彼と彼女と彼の事情


トゥルルー、トゥルルー……   

静かな部屋に、鳴り響く呼び出し音。 


胸がドキドキして、受話器を持つ手に力が入る。 


顔など見えるはずもないのに、鏡の前で表情をチェックしてしまう。


そんな自分が、可笑しくもある。


何回目かのコールの後、電話越しに懐かしいあの人の声が聞こえた――。 









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