彼と彼女と彼の事情
そんな堅苦しい雰囲気、今日の私には必要なかった。
「よしっ、わかった!
じゃ、郁人さまについてこい!」
と、腕を引っ張られ、向かった先は――…
「……えっ?えぇー!?うそ?
何、ここ?冗談でしょ?隣のビルじゃなくて?」
「そっ!ここ。
今日は、奈緒お嬢様をご招待だから俺も頑張ったよ」
「うそー、マジで!?
郁人からは考えられない!」
思わず、大きな声が出た。
それもそのはず……