彼と彼女と彼の事情
こんな天気だからか……
タクシー乗り場は、物凄い混みようだった。
順番待ちをしている間、郁人が近くの自販機で温かいミルクティーを買ってきてくれた。
手に持つのもやっとなくらい、熱いミルクティー。
冷えた体に、ぐっと染み込んでいく。
身体の芯まで届きそうな熱さ。
ミルクティーの温かさに加え、郁人の気遣いに内から込み上げてくるものがあった。
――が、ギュッと唇を噛み締め、堪えた。
ダメ……泣いたりしちゃ!