ワイルドで行こう
『やること早い』と解っているけど。そんないつもの英児を凌駕している。え、え、なんか今日の英児さん、この前とちょっと違う? 戸惑っているうちに、琴子のつま先から白いショーツがぴんと弾けるよう飛んでなくなってしまった。英児がどこかに無造作に放っていた。
それだけじゃない。英児は不適な笑みを唇の端に僅かに湛えたかと思うと、すぐに琴子の両膝を開いて、割って入ってくる。そして英児は、また迷い無い長い指でゆっくりと琴子の黒い茂みに触れ、かき分ける。目的は決まっていて、英児はそれを探している。
英児が探しているもの。そこを愛されたら琴子が泣いて泣いてどうしようもなくなるところを探しているがわかった。
彼の指先を許している琴子は、そんな彼の指先を見つめている。ふんわりとしていた黒いシフォンのブラウスも、英児になぎ倒されたかのようにふくらみを無くして琴子の身体の線を醸し出している。そのブラウスの裾のすぐ下、窓からの明かりにくっきりと浮かび上がっている白い肌と黒い毛と、そして開いている足。淫らに。明かりを頼りにして、彼が絶対に直視して欲しくない女の秘密を剥き出しにしようとしていた。
本当なら、ここで顔を覆ってしまいたい。『貴方に任せるから。私がいま、こんな格好をしているだなんて、私に教えないで。目をつむっているから、気持ちよい感覚だけ私に与えて』とばかりに。でも、琴子はそれを自ら直視する。明かりに浮かび上がる自分の卑猥に艶めく黒毛と、剥き出しにされた秘密を欲しがっている彼の顔を見つめている。
そんな淫らな自分を冷めた目線で観察しているかのような琴子の目と、夢中になって女の秘密を探索していた英児の目が合った。彼が琴子のそこでふっと笑った息がかかった。
「琴子も……この前みたいに、手伝えよ」
それにはちょっとばかり抵抗を感じ、琴子は恥じらって今度は目を閉じた。