ワイルドで行こう
まだつきあって数ヶ月。でももう何度も何度も何度も、この彼と愛し合った。それこそもう何年も愛し合ってきたのだと思えるほどに。琴子自身、こんなに頻繁に肌を求め合う付き合い方は初めてだった。それまでの性生活は、あからさまにならないようどこか本心を隠して。女の本心を隠して慎ましく、最低限にを心得てきたと思う。厭らしい貪欲な女にみられないよう、でも愛してほしい気持ちを少しだけ匂わせて彼に気がついてもらう。……なんて。そんなもの、この動物的で素直な生き方をしている英児の前ではあっという間に砕け散った。会えばキスをして、会えばすぐに彼が琴子の服をめくる。乳房に触れて愛して愛されて。ベッドへたどり着くまでの駆け引きもない。だって英児がどこでも琴子に抱きついて、すぐに素肌を探して触ってしまうから。琴子も場所も厭わず、そんな彼の手を許して委ねて、自分も一緒に溶ける。
男と女が求め合うのに、時間をかける必要があるの? 欲しいから欲しいって求め合う。それが自然なんじゃないの?
今までが馬鹿馬鹿しくなるほど、頭や身体の奥に秘めていた女の性がこんなに恥じらいもなく覚醒していくのが、こんなにもキラキラ煌めいて思えるものだなんて。思わなかった……。煌めいても良いものなんだって。思わなかった。
「あっ、え、英児……っ」
何度愛されても。彼がどう愛してくれるか知り尽くしても。いつも通りの手順で愛されても。琴子の肌は湿り気を帯びいくらでも濡れていく。そしてきっと英児も、琴子の肌から上気するあの匂いを嗅ぎ分けて、もっと狂ってくれるはず。
琴子、すごいな。ほら、もう……。いつもの意地悪な囁き、そして意地悪な指先。とろとろに淫らに零れてきた琴子の甘い蜜をかき回して、英児は耳元で何度も囁く。
そんな彼ももう、琴子の蜜が溢れているそこで硬くして待ちかまえている。跳ねるようにそそり立つ男の情熱が、ちらちらと琴子の柔らかな肌に何度も触れた。