ワイルドで行こう

 .リトルバード・アクセス《7b》




 大人って。自由に愛しあえているようで、そうでもなく……。
 いろんなことの中で生きているんだなあ。
 

 翌朝、いつも通りに営業の準備に勤しむ龍星轟を横目に登校した小鳥は思った。
 そしてこの日、学校でも小鳥を揺さぶる出来事が起きた。

「竜太と別れたから」

 朝、花梨ちゃんの第一声に小鳥は目を丸くした。

「な、なんで!」
「ケジメ……もあるけど、前々から感じていたの。アイツ、私のこと心底から好きじゃあないんだなあって」
「ま、待って。花梨ちゃん。私に合わせて、ガラスを割ることになった原因のケジメなんていらないから。あれはもうあれで終わったの。親父さんも言っていたでしょう。花梨ちゃんのせいじゃなくて、その後に私が取った行動が問題だって。ちょっと、まって。竜太ともっと話し合おう」

 小鳥は席を立ち、廊下で他の男子生徒と笑っている竜太を見つけて、そこへ駆けようとした。思ったら身体が動いてしまう、いつもどおりの。

「やめて。小鳥ちゃん」

 即刻すっとんでいくロケット娘を良く理解している親友も、即刻その腕を掴んで止めてくれる。

「だって……花梨ちゃん……」

 花梨ちゃんの頬がものすごく強ばっていた。それ以上に、小鳥に対して怒っているような顔。

「花梨ちゃん……?」

 なにかを堪えるように唇をぎゅっと噛みしめると、彼女がやっと小鳥の腕を離してくれる。でも、そこから目を合わせてくれなくなった。

 やるせなさそうな薄笑いを浮かべ、花梨ちゃんは教室窓の向こうに広がる青空を遠く見た。

「竜太はね。私と付き合う前に好きな女の子がいたんだよね。私、その相談に乗っていたの。それがキッカケだったから」
「え。じゃあ、竜太はその女の子のことを、もう一度よく考えることにしたってこと!?」





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