ワイルドで行こう
まさかお祝いの幸せの、この可愛い苺をそんな卑猥な……厭らしい……、ある意味、思い入れあるベリーにも琴子にも、陵辱的な……。でも。
『だからさ。俺も嬉しかったよ。このイチゴは、俺にとっては琴子そのものだから。実がなればなるほど、俺の傍にいてくれる女房ってかんじで』
そういって。小さな苺を指に乗せて、あの目尻にしわを寄せる純朴な眼差しと、穏やかな微笑みの横顔を見てしまったら……。琴子はそれだけで、自分も幸せな気分になってしまうから困ったもの。
かと思ったら。
『くそ。イチゴを琴子だと思ったら、反応しやがった』
と……。琴子の目の前で、デニムパンツが膨らんだ股間を平気で突き出されて。もうもう琴子は『エロ悪ガキ』と叫びたくなったほど。
なのに、そのまま『たべさせろ』とか言いだして、強引に抱きかかえられてベッドルームに連れ去られ、本当にその通りに食べ尽くされるとか。彼は平気でする。
だけど。それが、女としてこんなに愛し尽くされてどれだけ幸せか。琴子はもう抗うことが出来ない。
イチゴ、イチゴって。夫でなければ平手打ちをしたくなるほどの恥ずかしい喩えも、ジャングルの中で険しく生き抜く野犬に嗅ぎつけられ気に入られ、がつがつと食べ尽くされる野苺のようなものなのだろうと、琴子ならそう思い浮かべる。そうすると、琴子も思う。やっぱりこの人って動物みたいな愛し方をする人なんだわと、受け入れてしまう。
だけど、そんな琴子自身も。こんな何にも囚われずに真っ直ぐに生殖に勤しみ、選んだ牝を全力で貫く野性的な夫との秘め事は、本当に自分も野生の一部、牡と激しく交わることが牝の本能なのだと痛感する。