ワイルドで行こう



 やがてその白いサラブレッドは、夫の運転で56号線の狭い夜の国道を走り抜け、今治へと走り抜けていた。

 そしてあるところで、高速のインターチェンジへと入ってしまいそのまま高速に乗ってしまう。

「どこへ行くつもりなの」

 この夫がなにかをやり出すと、なるべく予定通りに生きていこうとしている琴子が思い付かないことをするから、いつだって胸騒ぎ。信じているけど、何が起きるか予測できなくて。

 しかし高速に乗って直ぐ。英児はとあるサービスエリアに入ってしまう。すっかり日が落ちた駐車場。そこを降りた英児がそこから見える向こうを指さした。

「あそこ、走ってみようぜ」

 彼が指したそこには、瀬戸内海の上に雄大に光り輝く大橋。しまなみ海道一番目の吊り橋『来島海峡大橋』があった。

 橋の存在を示すための数々の光が吊り橋を縁取って煌めいている。そしてその下には夜の蒼い瀬戸内海。漁り火を湛えた漁船が行き交い、大きなタンカーに、密かに輝くフェリーも航行している。

「琴子が運転するんだ」

 そして琴子も……。徐々にその心構えを整え……。でも激しい緊張。




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