ワイルドで行こう
● あとがき ●
『ワイルドで行こう』全編、最後までお付き合いくださった皆様、有り難うございました。
ワイルドで行こうを連載していて、皆様からよくお声をいただいたのが『車』のことでした。
知っている車ばかり出てきた! というお声から察するに、同世代のお姉様方が大多数だったのではと思っております。
本家サイトで連載中も『シルビアは出ないのですか』とか『ハチロクは』とか『RX-7』は……というお声が続々、さらに女性の皆様ご自身が乗っていらっしゃったという方もけっこういらっしゃいました。
作中は英児の年齢から逆算して、彼が十代二十代前半に憧れただろう少し先輩の車ということで90年~09年の間の車種を選んでみました。
ただ、トヨタのレビンAE86(あるいはスプリンタートレノAE86)、通称ハチロクは別です。80年代の車ですが、90年代に入っても大変人気がある車でした。デザインよりも『走る性能』が走り屋青年に支持されてきた車だと思います。
バイトをしていたガソリンスタンドで先輩だった大学生のお兄さんたちも、赤いレビンのハチロクがやってきて『洗車をしてくれ』なんていわれたら、もう憧れの眼差しで磨いていたことを思い出すほど。だから昨年、トヨタがこの世代にもう一度乗ってもらおうと、今度は高級スポーツカーとして『86』を復活させたぐらいです。
なのでこれは、日産愛好者である英児も見逃さないだろうと(お声が多かったことも含め)、彼の所有車に一台だけトヨタ車が混じっています。
英児は日産車でしたが、ほかの登場人物にはそれぞれの車を所有してもらいました。なので、連載中も当時を思い出されたお姉様方がとても多かったと同時に、私たちの世代は、その車と共に沢山の想い出が寄り添っていたのだと、この作品を通して皆様から教えていただた気持ちでいました。
実際に、日本のスポーツカーが盛大に活躍したのはこの年代になりますし、それほど日本で『車』が元気で世界へ向けて職人が丁寧につくった時代だったとも思えます。
その時代に流行った歌を聴くと沢山の想い出が溢れるように、また車もそのような存在なのだなと。皆様の中にある想い出と共に、この作品を楽しんで頂けたこと光栄でした。
また茉莉花ドラッグを開設してから、なるべく身近に思える物語にしようと、地方都市を設定に用いることが多くなりました。
この作品でも『瀬戸内』という地方色を強くしたにもかかわらず、その雰囲気ごと、琴子と英児がいる世界を身近に感じて楽しんで頂けたことも、縁ある者として嬉しかったです。
最後に。この若々しい作品が多いサイト様で、なんだか場違いな年代と内容をひっさげた作品が紛れ込んでしまったかなと常々思っておりました^^;
ですが、こちらの皆様には温かく迎えて頂き、また一年間という長い長いシリーズ連載となりましたが、おもわず沢山の皆様とのご縁があったことに感謝、そして、読んでくださった全ての皆様に御礼申し上げます。
そして。こちらの作品を『オススメ作品』として選んで頂き、さらに沢山の皆様と出会うチャンスをくださったBerry's Cafe編集部様にも感謝、御礼を申し上げます。
一年間のお付き合い、有り難うございました。
また他の作品でご縁があれば嬉しく思います。
どうぞ皆様のこれからの日々が、素敵なものでありますように♪
茉莉恵