ワイルドで行こう

「やっと結婚式が終わって夫婦になったばかりじゃん。その上、年度末で印刷業界も忙殺される時期だよね。琴子さん、新婚旅行も返上で結婚式を終えたらまた残業続き。それどころじゃなかったんじゃない。来年までゆっくり待ってあげたらいいじゃん」
「言われてみれば、そうだな。バカだな、俺ったら」
「来年はきっと、琴子さんらしく準備してくれているよ。兄貴なんだから、そんなことで拗ねない拗ねない」
「拗ねてないだろ。意外すぎて拍子抜けしていただけだ」
 わかった、わかった――と、ニンマリとからかう笑みを見せる眼鏡の後輩の頭に、また英児は経理行きの書類で頭をはたいておく。

 

 ―◆・◆・◆・◆・◆―
< 643 / 698 >

この作品をシェア

pagetop